4人のこそだてエッセイ

4人のこどもたちをそだてるママのきろく。

赤ちゃん返り

梨子は、末っ子として育ってきた。きょうだいの行事へ連れていっても、かわいいねぇかわいいねぇと声をかけてもらい抱っこされたり手をつないで歩いてもらったり本当に年上のお兄ちゃんお姉ちゃんやママ友にかわいがられてきた。だから、たいようが生まれたその日夫が「たいよう抱く?」と聞くと、顔をこわばらせて「(抱かなくて)いい。」と言ったときに、これはまずいなと思った。上二人には赤ちゃん返りはあまりなかった。マメは、根っからの子供好きで赤ちゃん返りのそぶりなんて全くなく、空も多少あったけれどひどいものはなかった。はじめての赤ちゃん返り。それには、ずいぶん悩まされた。

おっぱいを飲ませようとしていると「梨子ものみたーい!」オムツなんてとっくに卒業していたのに、ひとりでトイレに行けなくなった。梨子が私に「ちょっときて。」といってきたときに、待ってねといったことがあった。たしかオムツを変えていたのだと思う。多分オムツだけじゃなくて色々ばたばたしていてたくさん待たせたのだ。すると、梨子はすごく悲しそうに消え入りそうな声で「梨子、ママが一番大好きだよ。」と言った。そのときに、ああ本当に悪いことをしてしまったと思った。

でも、たいようが大泣きしているときに、絵本読んで!と持ってきたり、こっちがいっぱいいっぱいになっているときにこそ、何か要求をしてきたりして本当に私もきつかった。なんで今。なんで赤ちゃん返りするの!?と幾度も思った。

けれどその考えは、保育園ノートでの先生とのやりとりを通して変わった。保育園ノートとは、毎日の様子や変わったこと等を書く先生と親の交換日記のようなものだ。私が、「もう3歳なのに、、、、」と書くと、先生から「もう3歳、されど3歳ですよ。」とコメントがあった。それをみて、まだ3つしか生きてないのか。と思った。トイレにもいける、一人で歩き、ごはんもたべれる。でも、何もできなかった赤ちゃん時代から3年しか生きていないのだ。たった3年。そう思うと、たいようが生まれ、色々と試行錯誤しながら、たいようを受け入れお姉ちゃんになろうと頑張っている梨子のことがとてもいじらしく感じられた。

すぐにそこから、私も変われたわけではないけれど、私も梨子を受け入れていこうと思った。梨子とたいようを産んだ助産院の助産師さんは、赤ちゃん返りは小学3年生でもする子はすると言っていた。

今月でたいようが生まれて8カ月。梨子は、はいはいできるようになったたいようと大声で笑いながらおいかけっこをして遊んであげている。その姿に抱くことを拒否した梨子の姿はみられない。いつか赤ちゃん返りを私が笑いながら聞かせられるほど、これからもどんどんお姉ちゃんになっていくんだろう。